-
3回目の熊本い草研修③ い草の田んぼで実地レクチャー
1年ぶりの熊本県八代市に到着しました。
お世話になっている瀬海秀人さんに、い草についてレクチャーしていただきました。
瀬海さんはイ草農家さんの事業組合「松品会」で事務局をされていて、生産者のサポートや取りまとめなどをされている方です。
刈り取ったい草を1番草、2番草などと番号を付けて長さごとに選別します。
い草は根と穂先が弱く、真ん中の幹の部分を畳に使える長いものほど高価になります。
1本のい草を手に取り、爪先で綺麗に割いてみると。
中からスポンジ状のものが出てきます。
これは「灯芯」と言われる部分で、フィルターの役割を果たし、お部屋の空気を綺麗にしたり空気中の湿気を取り込んでくれます。
夏の湿度が高い時期でも和室が涼しく快適に感じるのはこの灯芯部のおかげなのです。
左が国産い草、右が中国産い草の断面図です。
良質ない草ほど中身がみっちり詰まっていて、灯芯部分もしっかりしています。
長い草ほど高値で取引されるので、外国産い草では化学肥料を使ってどんどん背を大きくし、中身を軽視してしまうこともあるそうです。
しかし、時間と手間をかけてゆっくり背を伸ばし、中身が充実させたい草ほど長く安心して使える畳表になるのです。
ちなみに、昔はこのい草の灯芯部を灯油にひたして火をともすことで、あかり台として広く利用されたことからその名がついたそうです。
本で読んだ知識も、田んぼの目の前でい草を手に取り、現場の方に直接教えていただくとより詳しく理解することができました。
その後、研修でお世話になるい草農家の草野雄二さんにご挨拶。
3日間よろしくお願いします!
ご自宅にご案内していただき、刈り取ったばかりのい草を井戸水のシャワーで冷やす工程を見学させていただきました。
ご自宅の畳も拝見。
イ草農家さんのご自宅だけあって、とても良い畳表を使っておられました。
ムラなく日焼けした黄金色の温かみがとっても綺麗です。
長さも中身もしっかりしたい草は、時間が経つほど綺麗になるんだなと感じます。
しっかりと目に焼き付けて、少しでもい草の目利きができる力を付けていきたいです。
奥が深い研修もまだまだ始まったばかり。
次は、あの畳の良い香りの秘密、「い草の泥染め」を見学させていただきます。
つづく
-