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3回目の熊本い草研修④ 畳の香りの秘密、「い草の泥染め」を見学
谷口雄一さんのお宅を訪問し、い草の泥染めの工程を教えていただくことになりました。
谷口さんは東京の農業大学を卒業され、ご実家のい草農家を継がれました。
どことなく、くまモンに似ているどっしりとした佇まい。
熊本弁の冗談で楽しませてくれる、いつもニコニコ笑顔が素敵な農家さんです。
泥染めとは、刈り取ったい草を天然染土の泥でコーティングする大切な工程です。
刈り取ったい草を「縦型式イ草染器」の積み込みます。
しっかりと扉を閉めて、
スイッチを押すと、大量の泥が一気に流れ込みます。
中を覗いてみると、あっという間にい草が泥に漬かっていく様子が見えます。
染器から取り出したい草は、1本1本が泥にコーティングされているのがわかります。
この泥染めは、イ草や畳に様々な効果をもたらします。
・輝きが均一になり、ムラのない美しい色合いにする。
・日焼けによる変色を防止する。
・泥コーティングがい草の表面を保護し、耐久性をアップさせる。
まさに、女性の美顔パックと同じように、イ草を強く美しくさせる効果があるのです。
そして、なりよりの嬉しいメリットは、
日本人が大好きな「新しい畳独特の良い香り」を生み出すこと。
この泥染めの時に使う染土の香りと、イ草の本来の香りがミックスされ、リラックス効果のある独特な畳の良い香りを生み出すのです。
泥染めしたい草は、乾燥室で半日かけてじっくり乾燥させていきます。
乾燥機にい草を並べる作業をお手伝いすることになり、長袖の方が良いとのことでシャツをお借りしました。
最初に谷口さん達のお手本を見学します。
息の合ったリズムで、3人がかりで手早くい草を並べていきます。
自分にできるか緊張・・・。
教えていただきながら、私もお手伝いさせていただきました。
一人目からい草を受け取り、
い草を滑らすようにして床で揃えます。
そして、3人目の人に手際良く渡していきます。
い草の泥がついて、腕はあっという間に泥だらけになります。
長袖に着替えた意味がわかりました。
3人目のい草を並べていくポジションもやらせていただきました。
脚で寄せていくことで、い草を曲げずに隙間無くピッチリ並べていきます。
足手まといになりながらも、皆さんに優しく教えていただき、なんとか乾燥機に並べ終えることができました。
着色剤を使わず、天然染土でイ草本来の色合いを活かす泥染め。
お客様に喜ばれる、国産畳の良さは農家さんのこういった工夫や手間暇によって生み出されていることを知ることができました。
谷口さん、貴重な経験をさせていただきありがとうございました!
2日目からはいよいよ、早朝からの袋詰め作業、そして刈り取りい草研修が始まります。
つづく
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