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子ども達が畳大好きになる!白方小学校の畳工場見学
毎年恒例の白方小学校まち探検
今年も毎年恒例となった、白方小学校2年生の子ども達がまち探検で畳工場見学に来てくれました。
まち探検は白方小学校の近郊にある事業所の職場を見学するイベントです。白方小学校は東海村で一番児童数が多い小学校で、当店の目の前にあります。
毎日作業中には、子ども達の賑やかな声が聞こえてきます。
私の母校でもあり、とても馴染みの深い小学校です。
小学生向け畳工場見学を始めたきっかけ
この「まち探検」が始まったきっかけは、白方小の学年主任の先生からのお電話でした。
「小学生に畳を作っているところを見学させてほしいのですが・・・」
母校の先生のお誘いを快く引き受けた私は、見学当日に子ども達の驚きの反応に出会うのです。
(2015年 第1回目の様子)畳を見た子ども達の驚きの反応
見学回当日、集まった10名程度の子ども達に聞きました。
「お家に畳がある子は何人いるかな?」
すると、手が上がった子ども達は半数程度でした。和室のあるご家庭が減っている現状は日々感じていたので、ここまでは予想通りでした。しかし、新しい畳表の匂いを嗅いだ子ども達の驚きの言葉を聞きます。「なんか変な匂いがする~!」
「くさい!」畳が減っている現状、さらに畳替えする機会が減っていることで、なおさら新しい畳の匂いを嗅いだことのあるお子さんはほとんどいないんだという事に気づきました。
「日本人が大好きだと思われている畳の匂いも、今の子ども達には変な匂いに感じるんだ・・・」
現状を目の当たりにした私は、なんとか子ども達にも畳を好きになってもらおうと一生懸命、分かりやすいように畳作りの説明をしました。
そして、30分の見学会が終わる頃には、全員の子ども達が新しくできた畳を見て。「綺麗!」
「気持ち良い!」
「良い匂いがする~!」と言ってもらうことができたのです。
(夢中で話した初めての見学会。最後にはなんとか子ども達みんなに畳が大好きだと言ってもらうことができた。)「たとえ畳に触れる機会が少なくなったとしても、自国の大切な文化である畳を好きなお子さんが増えて欲しい」
この時芽生えたそんな想いが、当店が畳工場見学を続ける大きなきっかけとなったのです。4年目となった今年の畳工場見学
そして、当店の恒例行事のなった白方小学校まち探検は今年で4年目を迎えました。
今年も10人程度のお子様達と先生、保護者の皆さんが当店にお越し下さいました。まずは、古い畳を前に畳の構造の説明です。
普段敷き詰めた畳の上を踏むことがあっても、その断面や構造はほとんど知ることがありません。
ずっしり重たい藁の畳をみんなで持ち上げてみたり、古い畳を包丁で分解していく作業を見て、子ども達からは驚きの声が上がります。
(ご家庭から預かった古い畳を前に、畳の構造を説明する。)そして、一番子ども達が興味津々となるのが、畳製作をする機械達が動く姿です。
畳の大きさを計測する機械、畳表を引っ張る機械、畳縁を縫い付ける機械など、様々な畳マシンが動き出すと、子ども達から一斉に歓声が上がります。
(畳縁を縫い付ける「平刺し」という作業をする機械を見つめる子ども達。)ボタン一つで畳が回転し、マシンが畳を縫い上げていく姿を、子ども達は夢中で眺めます。
また、手作業が残る工程では、手際良く畳を作る畳職人の姿を熱心に見つめてくれました。
(畳の側面を縫う「返し」という作業を行う機械と、奥で畳の角である隅作りをする畳職人を見つめる子ども達)そして、完成した畳を目の前にすると、子ども達は我先にと畳に触れながら喜びの声を上げてくれます。
「すご~い!」
「気持ち良い~!」
「この匂い大好き!」この瞬間がこの見学会をやって本当に良かったと思える瞬間です。
(完成した畳に喜んで座る子ども達。当店で使う畳を使用し、なるべく手に触れたり、匂いを嗅いだり、座ったり体で感じてもらうようにする。)見学会後のご褒美、子ども達からのお礼のお手紙
今年で4年目になった見学会ですが、その終了後に毎回私が楽しみにしている事があります。
それは、子ども達からの「お礼のお手紙」です。
(今年の子ども達のからのお礼のお手紙)表紙のイラストから、お礼のメッセージまで全て子ども達の手書きです。
素直な子ども達の感想と感謝の言葉に思わず胸がジーンとなります。
(メッセージの一つ一つは事務所に飾り、従業員皆で読ませて頂いています。)ここに来てくれた子ども達がいつかこの日を思い出し、畳好きな大人に育ってくれると嬉しいです。
また、自分の故郷である日本の文化に興味を持ってくれるきっかけになれれば光栄です。子ども達からの学び、そして畳工場見学会の発展
子ども達に畳を教える為に始めたこの畳工場見学会は、いつしか私の大きな学びに発展しています。
まず1つは、「畳の解説方法」です。
子ども達にもわかるようにと心を尽くした説明は、いつの間にか普段のお客様への商品説明の際に大いに役立っていることに気づいたのです。毎日畳を作っている専業の職人は、ついつい自分たちにしか分からない専門用語を使ったり、専業目線の話し方になりがちです。
しかし、そこに「子ども目線」を入れる事で誰しもが理解できる、かみ砕いた解説になるのです。
「子どもにも分かる解説は、大人にも極めて分かりやすい」
この発見は普段の仕事に大いに生きています。
(2018年8月、東海村教育支援センター「たんぽぽくらぶ」の職員の皆様への見学会。)もう一つは、「畳工場見学の可能性」です。
白方小学校の工場見学の模様をブログやSNSに掲載したところ、それをご覧になった子供会の保護者の皆様や、留学生を迎えるホストファミリーの皆様、また近隣の大学関係者様から工場見学のオファーをいただくことができました。
この工場見学会は口コミで評判を呼び、4年間で行った工場見学会の参加者は100人以上、海外からはアメリカ、フランス、中国、カナダなど6カ国以上のお客様が当店にご来店いただくことができたのです。
(こちらも毎年恒例となった茨城キリスト教大学交換留学生のご来店)この経験により、いつも当たり前に見ていた畳製作の作業が、一般の方や海外のお客様にはとても貴重な体験になるのだという大きな発見がありました。
今では当店で畳替えのご注文をいただいたお客様も、わざわざ工場までお越し頂き、ご自宅の畳が製作される風景を見学にいらっしゃいます。
(畳作り見学サービスのご案内)畳替えは数年、数十年に一度の大きなご家族のイベントです。
そのイベントを畳店が体験としてご提供することによって、畳替えの価値も大きく上がるのではないかと考えています。
白方小学校のまち探検から始まり、子ども達から学んだ「畳の解説方法」と「畳替えの体験化」この学びを大切にするとともに、日本の畳文化の伝道の為に、これからも畳工場見学会を続けていこうと思います。
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